デンマークの建築家ビャルケ・インゲルスと彼の率いる建築設計事務所BIGの躍進劇が続いています。BIGの成功の裏には、どのようなデザイン哲学があるのでしょう。また、どのようにして10年間で約300名のスタッフを抱える企業に成長したのでしょうか。
BIGはどのように「大きく」なったのか
ビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)は、あらゆるプロジェクトで成功を収めているように見えます。コペンハーゲンを本拠地とするこの企業は、常識や思い込みをひっくり返し、創造的で、遊び心にあふれる、大胆極まりない方法で、一見対照的に見える複数の可能性を融合させてしまいます。ニューヨークの「Via」(周囲の四角い高層ビル群と対照をなすピラミッド型のマンション)や、コペンハーゲンの「アマーガ・バッケ・ゴミ処理発電施設」(スキー場と合体した発電所)をはじめ、傑作と呼ばれるプロジェクトを次々と完成させています。
この7 年間、BIGは名声を得るとともに規模を拡大し、50人だったスタッフは300人近くまで増えました。また、本拠地であるデンマークにとどまらず、アジア、中東、北米の設計プロジェクトも手がけ、2010年には初の海外事務所をニューヨーク市に構えました。
デザイン哲学
BIGの型破りなアプローチや急速な成功については既に多くが語られ、同社は勇気ある実験的な企業として世界に知られています。
BIGの哲学は建築にクリエイティビティを発揮することです。パートナー兼CEOであるシーラ・マイニ・セゴーは、BIGは挑戦を怖れず、他の業種からインスピレーションを得ることを怖れず、自分たちを単なるデザインスタジオではなくプロのコンサルタント集団であると考えることを怖れずに活動してきたと言います。
BIGカルチャー
BIGの企業文化も成功の一因です。BIGでは経験レベルに関わらず全員が積極的にアイデアを出すことを奨励され、通常であれば幹部のみで開く会議やディスカッションにも多くのメンバーが参加しています。またスタッフの国籍は30ヵ国以上にわたり、国を超えたクリエイティブな環境が創られています。
BIGの文化のもう一つの特徴は若さです。創立10周年を迎えたばかりの若い企業であることに加え、比較的若い経営者とスタッフで運営されているのです。ビャルケ・インゲルスは今年で41才、最年長のパートナーでも51才です。
今後、BIG はその名の通りますます大きくなっていくのでしょうか?
シーラ・マイニ・セゴーは、大切なのは規模ではないと言います。「私たちは今も自分たちの仕事を愛しています。ですから、大切なのは建築やプロジェクトであり、従業員が500人であるか50人であるかは、さほど重要ではありません」
出典:DesignIntelligenc & BIG GROUP