リサ・ケアー・イェンセン(DANISHTM エディター)
デンマークは世界に先駆けて、都市開発、持続可能性の推進、遊びや学びのツールとしてデザインや建築を活用しています。新しいものを創造したり、古いものを改善する際には、必ずこれらの要素を検討します。
ここ数年、デザインの世界で持続可能性に焦点が当てられるようになってきました。デンマークではこうした考え方が徹底されています。企業も持続可能な材料の調達に務めており、例えば家具メーカーWe Do Wood社の製品はすべて、認定を受けた農園で化学肥料や農薬を使わずに育てられた竹を素材にしています。
持続可能性は、建築分野でも注目されています。近く竣工予定のC.F.モーラーのコペンハーゲン大学パナム・コンプレックス医療研究所増築プロジェクトは持続可能性を重視しており、エネルギー効率の良さで先駆的な存在となるでしょう。同研究所では廃棄エネルギーを建物内のエネルギー収支に還元し、再利用します。また雨水管理のために屋上を緑化するほか、建物全体の日照利用の最適化にも特別な配慮をしています。
そのほか注目すべきデザインとして、バルクコンテナーを再利用した新しいスタイルの住居/オフィスなどが挙げられます。CPHシェルターは、マースク社の古い輸送コンテナーを住居に作り換える新しいプロジェクトです。コペンハーゲンの北部港湾地区にあるUNIONKUL STACK 1も、使い古したコンテナーを利用した3階建てのオフィスです。この建物にはデンマークの建築会社Arcgencyが入居しています。
デンマークのおもちゃ会社レゴは、持続可能な材料の開発と導入推進の一環として、レゴ・ サステーナブル・マテリアルズ・センター(持続可能な材料センター)を建設する意向を発表しました。
デザインは、製品の形だけを描くものではありません。デザインは思考そのものであり、人生を変えることさえあります。デンマーク人のカイ・ヴェステルゴー・フランドセンと、息子のミケル・ヴェステルゴー・フランドセンが設立し、スイスに本社を置くヴェステルゴー社は、汚水を清潔で安全な飲料水に変えるフィルター「ライフストロー」をデザインしました。ライフストローは1000リットルの水を浄化することができます。当初は途上国のためにデザインされた商品ですが、現在はサバイバリストの道具として、また緊急キットとしても使われています。
Lifestraw Photo © Vestergaard