つい先日まで開催されていた国際的なウィンタースポーツの大会で、日本や世界各国のアスリートが活躍される姿をご覧になっていた方々も多くいらっしゃったかと思います。昨年、東京で開催された大会の聖火ランナーのお一人に、デンマークのVilhelm Hertz(ヴィルヘルム・ハーツ)という工房が作った松葉杖を使用して聖火を繋がれた方がいらっしゃいました。
Vilhelm Hertz(ヴィルヘルム・ハーツ)の杖は、愛着を持って長く使うことを意識して、職人の手によってひとつひとつ丁寧に作られています。福祉用具にも美しさをと、その人にあったサイズを提供するために、カスタムオーダーでデンマークの工房で一つ一つ丁寧に、メイドで製作しています。長年に渡り「木」を扱ってきた自然と共に生きる職人、Kristoffer Vilhelm Pedersen(クリストファー・ヴィルヘルム・ピダーセン)と、金属のスペシャリストで0.001ミリまでこだわる職人、Thomas Hertz(トーマス・ハーツ)の2人がコラボレーションして制作する、美しい杖のブランドです。
今回、現地の工房で住み込みで働いたのち、Vilhelm Hertz(ヴィルヘルム・ハーツ)の日本窓口を務める風と地と木 合同会社 代表の宮田 尚幸さんが、書面でのインタビューに応えてくれました。良いプロダクツのデザインには、ユーザーさんとの対話(ダイアローグ)が欠かせないというお話をお聞かせ頂きました。詳しくは下記インタビュー本文をご覧ください。
ユーザーさんとのダイアローグ
良いデザインのプロダクトには、実際に使う方とのダイアローグが不可欠なのではないか―実際に使う方の声がその物の物語の中に入り込んでいることが、愛着を持って使ってもらうためのプロダクトには大切な気がしています。そのためにも必要なのはダイアローグ、心理的に安心出来る環境をしっかりと作って、相手の本当の想いやクリエイティビティを引き出します。もちろん対等に、私たちの声も届けます。
2021年8月20日、日本のVilhelm Hertz(ヴィルヘルム・ハーツ)の杖ユーザーが聖火ランナーに選ばれ、素晴らしいランを行いました。彼女との出会いは2年前、定期的に近況報告をし、杖の微調整も行ってきました、そんなコミュニケーションで築いてきた関係性もあり、聖火リレーの当日に現場に招待して頂けることに。こうやって彼女の物語の中に登場する“杖”が自分のものになっていくごとに、彼女自身の自信に繋がっていっていると実感しました。下の動画と写真は、奇跡的に撮影することができ、この目で何が起きているのかを目の当たりにすることができました。ユーザーさんとの緩やかな繋がりはとても心地よく、嬉しく、驚きに満ちています。
Vilhelm Hertz Japan / Study 007 / Running – YouTube
「昔は’’杖”って感じだったけど今では”おしゃれ”の一部」
同時期に、ある雑誌(※1)でつくり手と使い手を同時にインタビューしていただく機会があり、使い手である彼女の声を伺うことができました。その中での「使ってみて気持ちや暮らしに変化はありましたか?」という質問に対し、回答にとても感動しました。
「最初見たときは、昔の杖より細かったから不安だったけど、使ってみると使いやすいし、デザインもかっこいいので、友達にも「かっこいいね」って言われたりして。昔は杖って感じだったけど、今ではおしゃれっていうか、おしゃれの一部。歩いてても杖を気にしなくなって、なんかおしゃれだからどこへでも行ける感じがする。ちょっと相棒みたいな感じ。」。
私がデンマークで働く中でユーザーさんが言っていた、「この杖で私の人生は変わったんだ!」という言葉が思い出されました。
新しいチャレンジ
毎日持っていて気持ちが良い。心配されるのではなく、ひとつの魅力になる。毎日の生活に溶け込むために作られた道具。そんな姿勢で作られているこの杖は人間の尊厳をとても大切にみています。その人がその人らしくあるために、“たかが杖”だけれども“されど杖”。一つの道具が一人の人間に与える影響は大きく、それが回り回って世界に与える影響は計り知れないのだと、職人の哲学とクラフトマンシップを、日本にも少しづつ広げていきたいと思います。
現在、日本の素晴らしい職人さんとの協働で日本での生産ができないかとの職人との対話から、新しいチャレンジのステージに向かっているため、支援してくださる方も同時に募集しています。
※世界的な状勢による影響のため、現在日本での新規受注をストップしております。再開の目処がたち次第アナウンスさせて頂きます。大変申し訳ございません。
※1
雑誌名:「訪問リハビリテーション11-06号」
発行:「株式会社ともあ」
記事:「monoLIFE〜わたしと、暮らしと、福祉用具〜」インタビュアー/高橋晴香
写真提供
上段写真:田上浩一(https://www.tanouekoichi.com/)
下段写真:宮田尚幸
Vilhelm Hertz, Japan
Official site:
https://www.vilhelm-hertz.jp
Facebook:
https://www.facebook.com/VilhelmHertzJapan
Instagram:
https://www.instagram.com/vilhelm_hertz_japan
Blog :
https://note.mu/nao_denmark/m/m29b3a93211d1
Dialogue :
https://www.facebook.com/huset2020
運営:風と地と木 合同会社 / 宮田尚幸
Many of you may have enjoyed watching athletes from Japan and around the world at the international winter sports competitions happened recently.
Last year, during the international summer sports Games in Tokyo, one of the torchbearers ran with crutches made by the Danish workshop Vilhelm Hertz.
Each cane from Vilhelm Hertz is carefully crafted by artisans with the intention of being used with love and care for a long time. Each cane is carefully made in our Danish workshop on custom order, in order to provide beauty in welfare equipment and the right size for the person. A beautiful cane brand created in collaboration between Kristoffer Vilhelm Pedersen, a craftsman who lives with nature and has been working with ‘wood’ for many years, and Thomas Hertz, a specialist in metal and a craftsman who is particular down to 0.001 mm.
Mr. Naoyuki Miyata, President of Wind, Earth and Wood LLC, who worked as a live-in worker at the local workshop and is now the Japanese contact for Vilhelm Hertz, responded to our written interview. He told us that dialogue with users is essential for good product design. The interview is in Japanese only. For more details, please check out the links below.
Official site: Vilhelm Hertz – Vi ændrer verden en krykke ad gangen (vilhelm-hertz.dk)