デンマークは小さな国ではありますが、その文化は豊かで多彩です。
デンマークの文化やライフスタイルと聞くと、多くの人は家具デザインや文学、建築などを連想するのではないでしょうか。デザインを語るうえで欠かせない存在なのは、シドニーのシンボルであるオペラハウスを設計したヨーン・ウツソン、そして現代の売れっ子建築家の一人、ビャルケ・インゲルスです。また銀細工のデザイナーであるジョージ・ジェンセンも世界的に有名ですし、ボーエ・モーエンセン、ハンス・ウェグナー、ポール・ケアホルム、ポール・ヘニングセンといった家具デザイナーも、デンマークのインテリアデザインを世界に知らしめてきました。なかでも最も有名なのは、おそらくアルネ・ヤコブセンでしょう。今や世界で知られるスワンチェアやエッグチェアは、「デンマーク・モダン」のスタイルを世界に広めた良い例の一つです。
デンマーク人は、3年連続で「世界一幸福度の高い国民」に選ばれています。そのデンマーク人のライフスタイルでとても大切にされているのが「Hygge(ヒュッゲ)」という言葉。この言葉は英語でいう「coziness」、つまり「居心地の良い雰囲気」というような意味になります。Hyggeを表す内容は、たとえば家族や親しい仲間とおいしい食事を楽しみ、キャンドルの灯った暖かい雰囲気のなかでくつろぐ、といったところでしょうか。家族や友人が集まって祝うクリスマスはHyggeの典型と言えるでしょう。家族や友人たちと過ごすその空間に欠かせないのがデンマークデザインです。
デンマークの国と人々は、仕事と生活とのバランスが良好であることを誇りにしています。人々は仕事とプライベートの時間の優先順位を自分たちで決めることができるのです。福祉モデルでは、たとえば職場のフレックスタイム制のように、柔軟性の高い働き方が取り入れられています。また男女どちらも育児休暇が取得できることや、保育施設の充実など、社会的なサポート体制も整っています。これにより、デンマークはもっとも平等な社会を実現しているだけでなく、高い生活水準も維持しているのです。
デンマークの首都コペンハーゲンは、雑誌社が選ぶ世界の最も住みやすい都市にも選ばれています。