by ティネ・モーリセン(インテリア・デザイナー)
英国には「自分の家は自分の城」という古い諺がありますが、これはデンマーク人にもよく当てはまります。デンマークでは、家が生活の中心です。「くつろぎの空間」、「個人の空間」、「機能的な空間」といったスペースをいかに作るかによって、家は住む人の個性やアイデンティティの一部となるのです。人を招く機会も多く、家を見せることが自己紹介にもなります。デンマーク人は、家づくりにお金も時間も十分につぎこみます。
インテリア・デザインのトレンドや傾向は、どんどん移り変わっていきます。そのサイクルはファッション・デザインほど短くはありませんが、それほど差はないかもしれません!実際、私はファッションからインスピレーションを得ることがよくあります。色、手触り、大胆さなどに関しては、常に1〜2年先を行っているからです。
私は様々な場所から着想を得ています。自然に触れ、雑誌を眺め、何度もスケッチを描くうちに、イメージが膨らんでいきます。しかし、夜の時間、コーヒーブレイク、子どもと遊ぶ時間からひらめきを得られることもあるのです。
トレンドは変化するものです。家具やインテリアも同様です。しかし、トレンドは繰り返すのが常です。近い将来、金融危機の影響による禁欲的で慎ましいライフスタイルの反動が起きると私は予想しています。今後、より実験的なデザインや新素材が展開していくことを願っています。
皆さんもご存知の通り、私は色が好きです。デンマークのデザインには、もっと色を取り入れる余地がありますし、またそうすべきだと私は考えています。ヴェルナー・パントンがかつて言ったように「人は自分の好きな色の椅子には、気分良く腰掛けることができる」ものです。部屋についても同じです。部屋の個性を曖昧にせず、そこにいる人を表現し、包み込むことが重要です。
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